第11回(清水建二氏)ネゴシエーション研究フォーラムが開催されました。

平成28年11月19日(土)きゅりあん(品川区立総合区民会館)にて、
第11回ネゴシエーション研究フォーラムが開催されました。

第11回ネゴシエーション研究フォーラムの様子

ゲストスピーカーは株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役:清水建二氏で、
「交渉で勝つための空気を読む技術~微表情から察する相手のホンネ」をテーマにご講演いただきました。

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今回の講師は表情分析の専門家である清水建二先生。「微表情を交渉で活かす」と題してご講義いただきました。清水先生はドラマ『科捜研の女16』でも第1話、第2話で登場した微表情研究のエキスパート、矢萩修武の監修をされるなど幅広くご活躍されており、最近日本でもこの「微表情」に対する関心が非常に高まってきていることを実感しています。

「微表情」については、簡単に言いますと「抑制された感情が無意識のうちに表れる、0.2秒以下の微細な顔の動きのこと」をいいます。感情の反映である表情は「悲しみ」、「幸福」、「怒り」、「軽蔑」、「嫌悪」、「恐怖」、「驚き」の7つ(基本感情)が、現在までに性別、人種、文化、視力の有無を問わず人類普遍であることが確かめられています。さらに、これに準ずるさらに11の感情について、その普遍性の研究が進められています。

さて、前半は、「微表情」についての解説と、実際に動画を用いた微表情検知テストを行いました。一通り解説を聞いた後に再度テストを行ったのですが、出席されたほとんどの方の正答率が上がっていました。この結果は、たとえ0.2秒以下という僅かな表情の変化であっても、訓練によりある程度読み取ることができるようになるということを示しています。

後半は、ビジネス交渉の場面で交渉相手の顔に表れた微表情から本音の感情を読み取り、それをどう活かすかについてのケーススタディを行いました。微表情は抑制された感情、つまり「相手に晒したくないと思っている感情」の反映ですから、それを推察することができれば確かに交渉を有利に進めることができるでしょう。しかし、相手が見せたくないと思っている感情を利己的な意図で利用することは、見せたくないがゆえに一層相手の感情を害する可能性が高くなります。その様な選択は、特に「繰り返しゲーム」においては決して望ましい事とは言えないでしょう。むしろ交渉において微表情を読み取ることの真骨頂は、相手の抑制された感情、それがネガティブな感情であった場合は特に、を汲み取り、適切な質問を返すことによってコミュニケーションの質を高めることにあります。

感情を抑制するからには抑制する理由があるはずですから、そこを解消することができれば、互いの信頼関係を深める可能性は高まります。その結果、お互いにとってより良い交渉結果を導くことができる可能性も高まるでしょう。つまり、微表情から感情を読み取り、かつ適切なアプローチを選択するというスキルは、当協会の価値観の一つである「統合型交渉」を実現する上で非常に有用なものと言えるでしょう。

【講演者】清水 建二 氏 プロフィール

清水建二氏

株式会社空気を読むを科学する研究所 代表取締役

1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Cording System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。

<著書>
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く
『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』
フォレスト出版 (2016)

<メディア出演歴>
フジテレビ、テレビ朝日、文化放送、日経産業新聞、DODAキャリアコンパス、The21、日刊SPA!、週刊現代など