特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
篠原 祥
現在のお仕事についてお聞かせください
海運業界に所属しております。具体的には、主に船会社が船腹及び貨物の輸送手段を必要としている際に世界の何処からかそれらを探し、交渉の仲介を担って契約を締結させる仕事に携わっております。契約期間中に当事者間にて紛争などのトラブルが生じた際には、解決の役目も担い交渉を引き受けます。顧客は半数以上が海外の企業となりますので、主に英語にて交渉を行っております。本当に交渉に次ぐ交渉の日々であります。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
これまでに妥結まで導くことが難しい様々な交渉の場面に遭遇してきました。その中には私の実力不足により顧客の手助けを行うことが難しい場面も多々ありました。国籍の異なる企業の間に立つことも多く、その際には両者の価値観、文化は当然異なり日本人同士であれば通ずる阿吽の呼吸も使用することはできません。当然ではありますが、顧客へはそれを言い訳として使うことはできません。せっかく頼って来てくださった顧客へ結果でお返しするためには、自分の交渉スキルの向上が必要不可欠であると考えました。そこで、これまでは経験、勘、感覚などアート的な側面を頼りに行なっていた交渉を一度体系立てて整理することで、サイエンス的な側面の強化を行い、実力向上につなげたいと考えました。それが顧客のため、回り回って自分のためになるとの信念で交渉学の学習を続けております。
交渉学を学んでどう実践していますか?
私の仕事は基本的には二社の間に立って交渉を行い、契約をまとめることがメインの業務となります。二社とは具体的には船主(オーナー)と船社(オペレーター)を指します。船主(オーナー)は船舶を保有している方、船社(オペレーター)は船舶を運航されている方となります。
従って船主(オーナー)が保有している船腹を船社(オペレーター)へ貸し出す形となります。そこにはお金の交渉が発生しますので、短期的な視点で見ると勝ち負けが少なからず発生します。船主(オーナー)は少しでも高い値段で貸したい、船社(オペレーター)は少しでも安い値段で借りたいという側面がありますので。ただし両者は長期的な視点で見ますと共に海運業界を生業とする仲間であります。 どちらか一方が欠けてしまうと成り立たなくなってしまう生態系となっており、共に発展することが望ましいと言えます。従ってどちらか一方が極端に勝つのではなく、両者がそれぞれ得をするポイントを創出するように試みております。交渉項目は多岐に渡りますが、ひとつずつ細かく調整を行うことで統合型交渉へつなげるようにしております。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
まず一点目が顧客の課題解決のために私の交渉力を使い、最終的に弊社の業績向上に寄与させていきたいと考えております。私の顧客は一社単独では解決が難しい様々な課題を抱えています。そこで補完しあえるパートナーを見つけ、両者へ提案、条件の交渉を行い、契約をまとめていきたいと考えております。それにより弊社の業績向上につなげていきたいと思います。
二点目は、現在個人的に支援しているNPO法人の支援のために交渉の知識及び技術を活かしていきたいと考えております。世界平和に関心があり、NPOの活動支援を行なっておりますが、何かしらの形にて私の交渉技術を提供し、彼らの活動をサポートしていきたいと考えております。