【出版情報】当協会代表理事 安藤 雅旺 著 逆境を乗り越えるシゴト哲学『論語営業のすすめ』生産性出版
当協会代表理事の安藤雅旺が、2021年12月7日に逆境を乗り越えるシゴト哲学『論語営業のすすめ』を生産性出版から上梓いたしました。
【概要】
日本の資本主義の父である渋沢栄一は、「論語」と「算盤(そろばん)」の一致、「士魂商才」を常に重要性を説いていました。営業力向上には、士魂商才を養う『論語』を学び、実践することが最大の近道です。また、渋沢栄一は、士魂商才の学び方について「知行合一」(知識と行為は一体)の精神をもって論語を学べと説いています。
30年以上、B to Bの営業に携わってきた著者が、論語と出会ったきっかけや、論語を志向し「論語営業」を実践する方法について、ステップを踏んで説明します。
そして、営業に役立つ章句をピックアップし、原文・現代語訳のほかに、営業に従事する方に向けての解釈文をつけています。
さらに番外編では、現在活躍している、「論語営業」を実践してきた経営者たちが、自身や社会を取り巻く課題を直視し、問題を解決して、苦難を乗り越えてきたインタビューを掲載しています。
【目次】
はじめに 仕事の捉え方を見直そう
第1章 営業の在り方(Being)を考える
第2章 論語営業の哲学
第3章 論語営業の実践
第4章 営業人Co-creative Interface Builderとしての軸を固める
第5章 オンリーワンの営業道を歩む
番外編 Co-creative Interface Builder 列伝
おわりに
逆境を乗り越えるシゴト哲学
『論語営業のすすめ』
安藤 雅旺 著
生産性出版
2021年12月7日
【窪田恭史 氏 レビュー】
一気に読み終えた。『論語』や『孫子』などの古典を現代ビジネスの観点から解釈、解説した本は数多くあるが、ともすると断片的になりがちな印象を持っていた。しかし、本書は筆者の価値観と経験に基づき、営業に対する考え方から実践、そして同じ価値観を共有する他の経営者の事例へと、「論語営業」という一つの体系の中に、主として『論語』と『伝習録』からの言葉を織り込んでいる。それが、すらすらと読み通すことのできた要因かもしれない。『伝習録』は、「知行合一」、「事上磨錬」など、孔孟をはじめとする「聖人」の教えを自分で咀嚼し、実践することを説いた書であるから、『論語』を実践的に解釈する上で必然的に伴うものであったろう。
論語営業の基本は「お役立ち」であると言い、他者との相互作用を通じて、学び内省することで自分を成長させ、自他の幸福に貢献する。これは非常に共感できる部分であった。このスパイラルによって、自分の世界までもが広がっていく。「列伝」として設けられた他の経営者の事例集は、まさに著者が「論語営業」を実践し続けてきた精華なのだろうと思う。また、欄外にイラストで登場するネコや達磨が、様々な役立つツールや推薦図書などを紹介しており、本書自体が「お役立ち」の書として構成されているのも興味深い。
営業とは人間の相互作用そのものであるから、古典が読み手によってさまざまな解釈を許容するように、本書は営業職に携わっていない人にも役立つはずである。その意味では、本書は営業という仕事を通じた筆者による『論語』と言えるかもしれない。
私の部屋は本だらけで足の踏み場もないほどだが、その中でも繰り返し読む本はそう多くない。しかし、本書は何度も、実践し戻ってきたい思いに駆られる。それは本書を読んで得心するところが多かったばかりでなく、励まされるような感覚を得られたからである。内省するに、励まされた箇所が今の自分の弱い部分なのであろう。