特定非営利活動法人 日本交渉協会
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交渉アナリスト1級会員
森 他巳也
現在のお仕事についてお聞かせください
電機業界の会社で、入社以来一貫して資材調達業務に従事し約25年になります。納期や価格、契約などB to Bの調達業務に関わるあらゆる交渉を経験してきました。その間には中国・上海に3年駐在した経験があり、日本国内のみならず、海外の取引先との交渉についても精通しています。現在はある製品事業部門の調達業務の取り纏め責任者の立場にあり、経営者視点での調達戦略立案や意思決定、それを実行するための社内外交渉と人財育成が主な業務です。当社はM&A等により急速にグローバル化を拡大していることから、あらゆる業務において交渉スキルの重要性は増す一方にあると認識しています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
資材調達業務は毎日が社内外との交渉ですが、ひとつひとつの交渉の勝ち負けにこだわり過ぎるあまり、精神的にかなり追い詰められた時期がありました。交渉には必ず勝たねばならぬというプレッシャーが心理的に大きな負担になっていたのです。その結果として交渉相手との関係も何となくぎこちないものになりがちでした。このような状況を打開すべく、より高度な交渉スキルを身につけたいと考え、交渉学を学ぶことにしました。
交渉学を学んでどう実践していますか?
現在は、マネジメントとして部下をリードし、組織として成果をあげる立場にあります。限られたリソースをどこに配分するかは成果をあげるためには非常に重要なポイントになります。トップダウンで一方的に指示することも可能ですが、それでは組織のモチベーションも上がりません。そこで統合型交渉の視点で部下と話し合いをし、可能なところは譲歩をしつつ、リソース配分の全体最適を図り、組織としての成果につなげていくということを実践しています。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
安定成長の時代と違い、環境変化の激しい現在では日々様々な問題が発生し、我々マネジメントはそれにスピーディに対応していかなければなりません。そして問題解決には各ステークホルダーとの交渉は不可避であり、どんなに厳しい交渉だとしてもそこから逃げてはいけないと思っています。私はどんな問題も交渉によって必ず解決できるとの信念を持っています。交渉学はそのための「道具」です。私自身がその「道具」を使いこなしていくと共に、同僚や部下にもその「道具」の使い方を伝え、交渉相手と持続可能で発展的なWin‐Winの関係を構築していくために活用していきたいと考えています。