特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
鮫島 千尋
現在のお仕事についてお聞かせください
都内で法律事務所を立ち上げ、弁護士として稼働しています。不動産トラブル、男女トラブル、親族間トラブル、相続、労働、交通事故、刑事事件等、様々な紛争の対応をしています。
弁護士会内においては、紛議調停委員やADRのあっせん人補としての活動も行っています。また、現在は、熊本大学大学院に通いつつ、対話による紛争解決学を研究しています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
弁護士として仕事をしていると、日々の仕事の中で、交渉をすることが多くあります。弁護士になりたての頃は、場当たり的に、その場しのぎの交渉をして、時にしどろもどろになりながら、悪戦苦闘をしていました。交渉をすることに苦手意識があり、相手方に電話をする際には、緊張をしていました。そんな中で、交渉学という分野があることを知り、日々の仕事に活かせるのではないかと思い、取り組むことにしました。
交渉学を学んでどう実践していますか?(統合型交渉の実践の例)
弁護士が紛争を交渉の中で解決しようとする際に、単に法的な観点から紛争を整理するだけではなく、交渉学上の観点から分析し、整理することで、解決策を作り出していくことができていると思います。そして、交渉学を学び実践することは、統合型交渉やBATNA、アンカリングといった考えのもとで、事案を整理できるため、交渉を行う弁護士自身にとっても、場当たり的な対応をせず、精神的にも安定して安心して臨むことができるきっかけになっていると思います。また、交渉学を始めたとしたさまざまなコミュニケーションスキルを駆使して対応をしていることから、知り合いの弁護士からは、話し合いが困難と思われる当事者の事件に関して、協力を要請されることが多くなりました。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(交渉に対する姿勢、モットーなど)
交渉学を学ぶことで、当事者双方にとってより良い解決策は何か、そもそも当事者双方は何がニーズなのか、なぜこのような態度や発言をするのか、といった点を注意深く見るようになりました。また、精神的にも、ここまでやってダメなら仕方がないと割り切れるようにもなりました。
今後も、双方にとってよりよい解決は何かを模索していくために交渉学を深めていくとともに、弁護士業界にはまだまだ交渉学等のコミュニケーションスキルは普及していないと感じていることから、業界内に普及できるように指導等をするといったことにも力を入れていければと考えています。