特定非営利活動法人 日本交渉協会
中野雅弘
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
中野 雅弘
現在のお仕事についてお聞かせください
企業の委託業務(コンサルティングやシステム開発などのプロジェクト)を外部調達しています。サプライヤ探索・競争入札リード・契約条件交渉が私の仕事で、近年の自社グローバル化に伴い海外との商談が担当業務の大半を占めています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
「日本人は交渉が下手だ!?」と海外サプライヤに思われているのではないかと疑念を持つようになったことがきっかけです。10年以上も国内サプライヤを相手にして交渉をしてきましたが、数年前から海外調達を担当することになりました。英語で商談することは心理的に大きな負担となりましたが、海外交渉を重ねるうちに単に言葉の壁だけではなく交渉の知識不足が今後の課題になると実感しました。「どうして辞退されるんだろう」と海外サプライヤの対応に困惑しました。競争入札の参加をお願いしても辞退される比率が高く、相手を知る(サプライヤの対応能力、時差、価値観)ためのコミュニケーションが不足していることに気づきました。
交渉学を学んでどう実践していますか?
「なるほどそういうことか」と思えるようになったのは、交渉メカニズムを理解できたからだと本当に感謝しています。強いBATNAを持つために、優秀な海外サプライヤをできるだけ多く集められるよう相手を知る一方で自らが相手からどのように見えているのかと細心の注意を払うようになりました。
また、社内のビジネス要求部門に対しても、彼らの顧客価値を事前に理解した上で代理交渉人として統合型交渉を通じて海外サプライヤとの最適な価値交換を通じたパートナシップの構築に取り組んでいます。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
「説得されたいのではなく、納得したい」と誰もが思うのではないでしょうか。ビジネスの場で分配型の交渉をしていると、相手に納得されているか気になることがあります。相手の本音というのは解り難いのですが納得しない交渉の結果、優秀なサプライヤと継続的な取引ができなくなると困るのは自分達です。ビジネス同様に、世の中には大きな紛争から小さな揉め事まで沢山の交渉場面があります。周りの人々が優秀な人材との出会いを無駄にしないよう、世の中に広く交渉の知見をお伝えすることを今後のライフワークとして交渉学に関わって参りたいと思います。