特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
小田部 貴司
現在のお仕事についてお聞かせください
メーカーに勤務し現在は業務改革を推進する担当をしています。新しいデジタル技術や業務プロセスを導入していく提案を行い、上層部から「Yes」をもらうこと、関連する方々に納得感をもって動いてもらえるよう調整することが交渉の場面です。
また、交渉術や傾聴についての講座をオンラインで開催しています。皆さんのコミュニケーションの困りごとを解決する一助となる活動をしています。
交渉学を学んでどう実践していますか?
交渉学を学んでよかったと思うことは、いわゆる分配型の交渉で使われるような心理的な駆け引きや揺さぶりには反応せず、自分を客観視して進められるようになり、交渉失敗を避けることができるようになったことです。
統合型、いわゆるWin-Winの合意形成をするためには、相手のことをよく知らないと何も始まりません。したがって交渉の場面ではどの部分が「コンフリクト:自分との対立点」で、そう考えているのはどんな背景があるからなのかを確認するために、ひとつひとつ質問するようにしてします。確認した内容をこちらで要約して繰り返すことでこちらが誤解なく相手のことを理解できていることを自分にも相手にも示すようにしています。自分と相手の共通点、相違点を整理して、相手の立場からからだとどう見えているのかということを知れればしれるほど、交渉の全体像を俯瞰して見られるようになります。このような形でどんな交渉も全体を客観視しようと心掛けています。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
私の交渉の姿勢はWarm & Tough(人にやさしく、要件に厳しく)です。
交渉の7要素の一つに「人間関係:合意案は人間関係をよくするものである」とあります。それを実現するには、相手の認識や、特に感情的なコンフリクトに対しては細心の注意を払い、それを乗り越える努力をします。そのうえで、互いの利益を最大化しWin-Winの同意形成をするためには要件には厳しく当たらなければなりません。
このマインドをとてもシンプルに表現した言葉がWarm & Toughです。Warm だけでもToughだけでもダメ。両方を併せ持つことが私の理想とする交渉人であり、そんな交渉術の伝道師となりたいです。