交渉アナリスト1級会員
橋本 信明
現在のお仕事についてお聞かせください
建設コンサルタントの会社で、おもに農林水産省、水資源機構、県、市町村発注の設計・調査・支援業務を中心に行っているところです。相手は公共事業団体であることから、社会的に大きな課題となっていることが多く、たとえば東日本大震災により農業用ダムが崩壊し、下流の民家を襲い、数名の方がなくなっていることから、全国の多目的ダムの耐震検討や耐震補強設計を行っています、また、大型農業用水路(愛知用水・明治用水)などの耐久性の検討・設計など多種多彩な自然条件を克服するための提案や設計などを行っています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
前職では主に道路計画・設計・施工などを手掛けており、地元や環境保護団体との間でもめていたバイパスルートの問題解決や、自然保護団体などが猛反発していた愛知万博の支援道路(主に高速道路)の都市計画決定などを手掛けました。各事業は大きな抵抗にあいましたが、思いのほか順調に進んだことから、何がよくてうまく進めることができたのか、自分自身の交渉能力のレベルとより一層のレベルアップを図るために交渉学を学ぶこととしました。
交渉学を学ばれて現場でどう実践されていますか(統合型交渉の実践の例など)
社内では交渉学の必要性と重要性について、お話をさせていただきました。また、次のようなボランティア活動をしています。地域を災害に強くし、世界に打ち勝てる産業を伸ばし、世界に誇れる地域を創生するため、まずは各行政機関が個別に作成している都市マスタープランを共同で作成し、重複した計画を1つにまとめ無駄をなくす。さらに地域全体で産業が進出しやすい将来計画を描き、負の遺産を将来に残さないために、関係市町が実りある統合型交渉ができるよう、行政・産業などの地域連合の結成に力を入れています。当面は6市の説得に当たっています。地域全体のメリットが高まるような説明をしていきたいと思っています。
交渉学を今後どのように活かしていきますか(交渉に対する姿勢、モットーなど)
今後地域連合が進む中で、さまざまな立場で、さまざまな意見や要望などが出てくると思います。それに柔軟に対応しながら、参加各組織がある程度納得のいく方針を描いていくことは、困難な仕事ではありますが、交渉学で学んだことを基本に、長期的な視野を持って、短期的には現実的で実現可能な方向を見出し、1歩ずつ進んでいきたいと考えています。地域住民に夢と希望が持てる、また地域の子孫の代に「先人がよく頑張ってくれた」と評価される地域にしたいと思います。