特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
星野 良太
    これまでのお仕事の経歴についてお聞かせください
    大学では心理学を学び、卒業後は教育、メディア、人材系コンサルティングなどの企業で、広告の企画、コピーライター、人材教育など幅広い業務に携わってきました。特に2016年からは新規事業担当として鹿児島県の離島に移住し、地域教育に携わる中で日本語学校や高校生向け予備校を立ち上げました。地域と(海外人材を含めた)外部人材との橋渡しも実践しながら学んできました。現在は自ら設立した「人まず株式会社」の代表として、企業のブランディング支援、教育研修、Podcast番組の企画など、多岐にわたる活動を行っています。
    交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
    私にとって最も印象深い交渉経験は、運営していた日本語学校の閉校に関する一連の出来事です。コロナの影響による海外人材の渡航制限が起こり、学校運営の根幹が揺らぐ中で、支援者・行政・地域住民・在籍生徒・職員のそれぞれと向き合いながら、学校存続の可能性を模索しました。資金調達や自治体との交渉も行いましたが、最終的に自らの力で学校を支え続ける決断には至れず、閉校を選ぶことになりました。
    その時、当事者自身の覚悟や、誰かと共有できる明確なビジョンがなければ、周囲を巻き込み、道を拓くことはできないのだと学びました。この体験が、交渉学を体系的に学ぶ大きな動機になりました。
    交渉学を今後どのように活かしていきますか(交渉に対する姿勢、モットーなど)
    交渉学における「相互理解」と「共通ビジョンの創出」という概念に、私は強く共感しています。自分一人では描けない理想像も、誰かとともに語り合う中で、立ち上がってくる瞬間があります。そのプロセス自体が交渉であり、人を動かす原動力になるのだと思います。
    今後、自社の事業展開の中で、また事業を離れた地域活動や教育現場においても、交渉学の実践的な価値を伝えていきたいと考えています。交渉とは対立を解決する手段というだけではなく、未来をともにつくる技術です。ビジョンを育て、覚悟を磨きながら、目の前の人との関係性を編み直していく。そんな交渉の在り方を、一人でも多くの方と共有していきたいと思っています。