交渉アナリスト1級会員
窪田 恭史
現在のお仕事についてお聞かせください
私の仕事は、不要となった衣類を回収し古着として輸出したり、油拭きや軍手などに加工する、いわゆる「リサイクル」を昭和9年(1934年)から一貫して行っている家業です。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
交渉学を学ぼうと思ったきっかけそのものは、単純に通商外交に関するニュースを見ていて、もっと交渉というものを理論的に理解する必要があるのではないかと思ったからです。その場でネットで検索し、交渉アナリストにたどり着きました。資格取得前に、まず藤田先生の「心理戦に負けない極意」を読みました。その本で、自分は思っていたより情に流されやすい性格であるということに気づき、早速その点を外国人との交渉で修正してみました。
交渉アナリストがどんなものなのか、正直分かりませんでしたが、ホームページに燮会という1級取得者の勉強会やネゴシエーション研究フォーラムが開催されていることを知り、そうした場に参加して長期的に自分の交渉スキルを高めていければと考えたのが、資格取得を目指した動機です。
交渉学を学ばれて現場でどう実践されていますか(統合型交渉の実践の例など)
当社の行動指針に「他利自得」という言葉があります。文字通り「他を利して、自ら得をする」という意味ですが、「統合型交渉」の概念がまさにこの「他利自得」に符合します。したがって、交渉学を学ぶ以前も「他利自得」という概念に基づいて、感覚的に「統合型交渉」を実践していたとは思うのですが、理論を学ぶことによりより深いレベルで整理ができるようになったこと、また一見分配型の要素しか見られないような事象についても「統合型に移行できるような手段はないか?」と考えられえるようになったことが大きな変化と言えます。理論からアプローチすることにより、お客様のより深いニーズに目を向けられるようになったのではないかと思います。
交渉学を今後どのように活かしていきますか(交渉に対する姿勢、モットーなど)
「統合型交渉」が中心視点となることにより、リサイクルは単なる処理業から地域コミュニティづくりに寄与するシステムであり、とりわけ衣類は持ち主の「思い出」や「自己イメージ」を反映した特殊な商品として、そのリサイクルにあたってもより深いレベルでの付加価値を創出していくことが求められていると思っています。「他利自得」の理論的裏付けとしての交渉学は自ずと私の仕事に不可分なものとして今後もありつづけるであろうと考えています。