特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
冨澤 賢司
    これまでのお仕事の経歴についてお聞かせください
    私はこれまで、国内大手セキュリティ会社での法務をはじめ、複数の外資系IT・ソフトウェア企業にて、企業法務やコンプライアンス、知的財産権保護、新規事業と法規制に関する実務に従事してきました。 キャリアの途中では、企業派遣による米国ロースクールへの留学を経験し、企業犯罪・情報犯罪と法制度の研究も行いました。その後、ソフトウェア業界の国際的な業界団体の知財保護支援での日本代表を務め、業界としての知財保護活動支援や日本政府関係機関との連携にも関わっておりました。直近はグローバルな外資系IT企業にて法務本部長として、パートナー企業や顧客との契約交渉、そして米国本社を含む国境を越えた組織間の調整業務に従事しております。
    交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
    かつては短期的な数値目標や持論の正当性に固執し、相手を論破することを重視していました。しかし、日本でのある難航した紛争案件で、相手を「敵対すべき敵」ではなく「未来の顧客」と捉え直すことで当事者間だけでなく関係する皆の未来に繋がる解決に至り、私の交渉観は大きく変わりました。
    一方で、実務においてそれ以上に苦労しているのが、組織内の合意形成です。私が身を置く外資系IT業界では、海外に分散した本社・本部部門、営業、エンジニアリング財務・税務、法務(法務も契約、知財、コンプライアンス等独立)など、国や部門を越えたステークホルダーが複雑に関与します。それぞれの利害、「交渉」に対する理解、方法論が共通していないため、社内・関係先調整で多くの労力と時間がかかるすることもしばしばです。 ローカルの経験則や「阿吽の呼吸」が理解されない環境で、多様な関係者を納得させ、協創へ導くためには、より体系化された「交渉学」という共通言語と理論的支柱が不可欠だと痛感したことがきっかけです。
    交渉学を今後どのように活かしていきますか(交渉に対する姿勢、モットーなど)
    多様な実務での「交渉」に関して、外資系IT業界における法務責任者として、アジア太平洋地域および日本側のマネジメントを担いながら、より高次の目的や未来に希望を保ちつつ、現実の複雑な利害関係の調整に取り組んでいます。これまでに学んだ「交渉学」をさまざまな場面で、少しでも活用し、多様なステークホルダーの価値を最大化する「統合型交渉」の実践に一歩ずつですが努めています。特に、短期的な数値達成に偏りがちな営業現場の仲間に対しても、日々の打ち合わせやOJT、研修等の機会を通じて「交渉学」の考え方・メソッドを伝えられるよう、積極的に機会を探っています。
    私にとって資格はゴールではなく、継続的に実務で「交渉学」を研鑽・実践する始まりです。社会や実務での実践を前提に、日本交渉協会の皆様と「燮(やわらぎ)会」や研究フォーラムなどの活動を通じて、研鑽と「交渉学」の普及にも貢献していきたいと考えています。