特定非営利活動法人 日本交渉協会
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交渉アナリスト1級会員
芹澤 博文
    現在のお仕事についてお聞かせください
    テナントリーシングや不動産管理に携わっています。テナント誘致をはじめ、出店・退店、賃料改定や契約更新など、商業不動産に関わるさまざまな業務を経験してきました。
    仕事ではテナントや物件オーナーなど、立場や考え方の異なる方との交渉が日常的にあります。特に賃料や契約条件では、お互いの主張が大きく異なることもあります。そんな時は相手の事情や背景にも目を向け、お互いが納得できる着地点を探すことを大切にしています。
    交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
    仕事を通じて数多くの交渉を経験してきましたが、交渉そのものを体系的に学んだことはありませんでした。相手の話を聞いて条件を提示し、譲れるところと譲れないところを判断する。経験から身についた自分なりのやり方がある一方で「経験や感覚だけに頼っていていいのだろうか」という思いもありました。
    特に賃料や退店などの交渉では、双方の主張がぶつかって話が前に進まなくなることがあります。そうした経験から、これまで実務で行ってきた交渉を一度整理し、理論として学んでみたいと思ったことがきっかけです。
    交渉学を学ぶ中でBATNAやZOPA、立場と利害の違い、統合型交渉といった考え方に触れました。これまで感覚的に行ってきたことが理論と結びつき、自分の交渉を振り返る機会にもなりました。
    交渉学を学んでどう実践していますか?
    交渉に入る前の「準備」をこれまで以上に意識しています。自分たちの希望だけでなく、相手が何を重視しているのか、どこまで譲れるのか、合意できなかった場合にどんな選択肢があるのかを考えてから交渉に臨みます。
    また、提示された条件だけで判断せず「なぜその条件が必要なのか」まで考えるようにしています。金額では折り合わなくても、契約期間や実施時期などに視点を広げると別の着地点が見えてくることもあります。
    社内調整でも考え方は同じです。それぞれの立場を理解し、共通する目的を探しながら話を進めることを心掛けています。
    交渉学を今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
    これまでの経験から、交渉は単純な勝ち負けではないと考えています。不動産や商業施設の仕事は契約後も相手との関係が長く続きます。自分たちの利益を守りながら相手の事情にも目を向け、お互いが納得できる答えを探していくことが大切です。
    一方で何でも譲ればよいわけではありません。BATNAを持ち、合意しない選択肢も含めて冷静に判断する。その上で条件を取り合うだけではなく、双方にとってより良い選択肢を一緒に考えていく。そこに交渉の面白さがあると思っています。
    これまでの実務経験に交渉学の視点を加え、これからも相手との対話を大切にしながら、お互いが前に進める交渉を実践していきたいと思います。