特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
彦田 美香子
現在のお仕事についてお聞かせください
人材コンサル・研修会社を経営しています。お客様の問題解決やビジョン実現のお手伝いをする中で「合意形成」を行うことを基本に、組織内外やチームの関係の質を向上し、学習するチームや組織へと意識や行動変容のためのファシリテートを行うことが主な仕事です。対象は、官公庁、IT関連業、製造業、サービス業、学校、病院、福祉など多岐にわたります。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
前職で参加したプロジェクトにおいて、多様な方々と合同で職務を遂行する機会がありました。その中で言語はもとより、文化や慣習、価値観などの違いにより、メンバー間の協調性が保てず、プロジェクト全体が崩壊寸前の状態に陥るという経験をしたことがありました。何とか今の状況から脱したいという思いから、ふと立ち寄った書店で目に飛び込んできた本が『ハーバード流交渉術』でした。そこで人で構成されているプロジェクトやチーム、組織で一番大切なことは当事者間やメンバー間の関係性(Win-Win)であるということを学びました。その後、関係性の構築に興味を持った私は、その方法や手法を体系的に学びたいと思い、コミュニケーション関連の学びの場を求めて探していたところ、交渉学に出会いました。出会ってから随分月日が経ち(少し遠回りしましたが)資格取得ができる日本交渉協会の交渉アナリスト通信講座を受講するに至りました。
交渉学を学ばれて現場でどう実践されていますか(統合型交渉の実践の例など)
私の実践する研修は、チーム活動の中での「合意形成」を想定して設計されています。また、講師と参加者との関係性においても「合意形成」がなされるような交渉となるよう工夫をしています。
「合意」を形成するにあたって、望むゴールへメンバー全員が納得の上進めるための考え方や関わり方、場のマネジメント、また知見を広げるヒントとして、交渉学で学んだ内容がかなり役に立っています。準備段階では、「土俵設定の原理」に基づき利害関係者との協働作業による研修設計を行い、研修の開始時には「ドミノ効果の原理」を意識するようになりました。交渉学を学ぶことにより、利害関係者や参加者の方々との向き合い方が「Win-Win」を目指すことを意識することにより、研修の満足度が向上するという効果を実感しています。
交渉学を今後どのように活かしていきますか(交渉に対する姿勢、モットーなど)
モノゴトを望む方向へ導き、好循環を回すためには「Win-Win」であることが大前提と考えます。つまり、しっかりと向き合い、共に考え、折り合いをつけることが必要となります。「交渉」というとどうしても奪い合いなどを含めた“何らかの結果を出すテクニック”に焦点が当たりますが、それではその場限りの欲求を満たす道具となってしまいます。学んだ内容を活かすためにも、「人と人との関係性を向上させる」方法として活かしていきたいです。たとえば、「対話による交渉」の可能性を探るなど。言語や文化、慣習、価値観などの違いから生じる対立や、同じ言語圏や文化を持つ者同士であっても「個人の利害や解釈の違い」によって生じる対立など、対話のための場の仕立てや関係の構築、向き合い方など、色々な状況の中でいかに「Win-Win」の関係性が対話による交渉(対話を意識した交渉)を通して構築できるか、チャレンジしていきたいと思います。