特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
小嶋 悠紀
現在のお仕事についてお聞かせください
2011年東日本大震災を契機として東北に移住し、司法書士として法律にまつわる仕事をしています。消費者向けの法律相談業務を中心として、特に不動産に関する法律問題に取り組んできましたが、現在は、企業の法務コンサルティングが中心となっています。法律の仕事は、消費者向けか企業向けかに関わらず、合意の形成と合意内容の文章化がメインとなるため、日々交渉を行っています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
法律を学んだときは、裁判で勝訴することが法律家の役割であろうと思っていました。しかし実際は、裁判で和解に至ることが依頼人の幸せにつながることも少なくありません。法律上の権利義務にとらわれず、依頼人の利益を重んじた訴訟の進行を志したとき、日本交渉協会の理念となる「『燮』の交渉学」に出会いました。
交渉学を学んでどう実践していますか?
当初は、法律の仕事において、依頼人の利益のために相手方との交渉において統合型交渉を試みていました。もちろん、交渉理論の実施によって大きな成果を生みますが、それよりも、依頼人との打ち合わせにおいて統合型交渉のプロセスが効果を発揮しています。依頼人が求めるゴールを理解し、そのために依頼人のニーズを引き出し、相手方との価値交換の道を探ります。決して妥協ではなく創造的な合意形成を目指す姿勢は依頼人との信頼関係を構築すると共に、依頼人の本来の依頼内容よりも優れた着地点を産むことが少なくありません。なお、トラブルの渦中にいる依頼人は心理的に疲弊しているため、認知バイアスに関する知識はとても役立っています。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
仕事に限らず、日常に繰り返される些細な合意形成においても活用しています。統合型交渉の合意形成プロセスを理解することによって、会議の場のリーダーとして活躍することができるからです。家族との喧嘩やら町内会の進行やら、人と人とが合意を形成する場において、同じプロセスによって解決に向かうことができます。特に、感情的に行動してしまいそうなときこそ、冷静にゴール設定を行い、統合型交渉のプロセスを踏むことによって創造的な価値を創出し、「『燮』の交渉学」を実践したいと思います。