特定非営利活動法人 日本交渉協会
松本博行氏
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
松本 博行
現在のお仕事についてお聞かせください
国内外の「液晶パネル生産工場」における「生産工程内搬送設備の計画・設計・納入」
の設計業務に約30年従事しました。現在、その際のProject経験を基に当時同業でライバルにあたる企業で、Projectの指導・支援に携わっています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
前職においては、常に競争力のある新しい技術と高い信頼性を求められました。その際、なぜその技術が必要なのか? その仕様で良いのか? どのように実現するのか? などの論議と交渉を経験してきました。当時その課題の具現化のための「情報の共有化」「組織のマネージメント」として、積極的に関連する知識体系(Knowledge)を取り入れてきました。今 Projectに関する指導・支援を計画・推進する中で、交渉が「交渉学」として体系化されていることを知りました。そしてそれを学び定常業務やProjectにおける「交渉のプロセス」に「交渉学」をKnowledgeとして組み込み、今の教育・指導を通して「交渉業務の負荷」を改善することで、より効率的な業務体系に改め、業務改革、働き方改革の一翼を担う思いで1級の資格取得を目指しました。
交渉学を学んでどう実践していますか?
Projectでは、立ち上げから終結までのやるべきTaskを知識体系に基づき構築します。しかし、それを実行する際、メンバやステークホルダとの協議・交渉が発生します。今までの交渉では、交渉論理や心理学的な構築がなく、経験則的かつ個人の個性に頼るものであり、「統合型交渉」を論理的な手法での展開・確定するものではありませんでした。現在は、各Taskにおける交渉の留保点の設定や組織の心理的影響なども想定するようにしています。またその対応・対策についても、従来のTask構築に加え「交渉学」を知識体系に組み込んで臨むように努め、そのプロセスと良い結果が所属組織の所産として定着することを目指しています。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
「交渉者」と聞くと多くの方が「Tough negotiator」を想像されます。そこで先ず
「統合型交渉」を目標にした交渉を理論的な目で分析し、相互の利益と円満な問題解決を目指すものです。と説明しています。現在のところ「交渉学」を瞬時に駆使したり、応用したりする技量ではありません。未熟な交渉技術で「相互の目的の達成」に至らない判断や結果となったり、交渉でテクニカルな感じの違和感を与えてしまっては、本来の目指す姿ではありません。ですから、交渉現場で交渉学を展開すると言うよりは、事前の想定で種々の対応を準備し、自然体の交渉に臨み、相互の目的に沿った結果を得られるように努めています。そして良い結果を得て、それを成功例として蓄積・共有することで知識体系としての交渉術を後輩達に伝えていきたいと思います。