特定非営利活動法人 日本交渉協会
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
酒井 浩
現在のお仕事についてお聞かせください
鉄鋼メーカーに35年間勤務しています。そのうち15年間は輸出営業、15年間は海外事業を担当しており、ほとんど海外に関する仕事一筋でやってきました。現在は、某国での新たな現地生産プロジェクトの企画・立案を担当しています。
海外勤務は、現地工場の立ち上げで、ブラジルに4年間赴任した経験があります。また、若いころの話ですが、アメリカのビジネススクールに2年間留学していました。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
私がこれまで担当してきた輸出の仕事にしろ、海外事業の仕事にしろ、「交渉が仕事」と言って過言ではありません。海外のお客様との価格交渉や、JV設立のための現地パートナーとの契約交渉はとてもハードで、私のような小心者にとっては胃が痛くなることの連続でした。何とかしなければ、と、交渉に関する本を読み漁った時期もあります。(余談ですが、その時に出会った「ハーバード流交渉術」は、今でも私のバイブルになっています。)
そうこうするうちに、何とか自分なりの交渉スタイルを身につけていったのですが、全くの我流で、体系的に勉強したわけではありません。もう一度、自分の交渉スタイルを見直してみよう、という思いもあって、日本交渉協会で交渉学を勉強させていただくことにしました。
交渉学を学んでどう実践していますか?
JVパートナーとの契約交渉は、交渉しなければいけない項目が多岐に渡っており、細かい点まで入れると100個以上の対立点があります。これらのすべてについて合意するのは非常に大変なのですが、逆に対立点が多いと、「統合型」の交渉に持ち込める可能性が高くなります。相手の本音を探りながら、「こちらにとって重要ではないが相手にとっては重要なこと」を譲歩し、代わりに、「相手にとって重要ではないがこちらにとって重要なこと」を勝ち取っていく、という交渉で、難しいと言えば難しいのですが、そこが交渉者の「腕の見せ所」で、最も面白いところでもあります。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
今回、日本交渉協会で交渉学を勉強させて頂き、これまで自分が心掛けてきた「win-winを目指す交渉」が、決して間違ってはいなかった、と確信できました。
私は、今の勤務先では間もなく定年を迎えますが、その後は中小企業診断士として、日本のものづくりを支えてきた中小企業の経営支援をしていきたいと考えています。中小企業の皆様が販路開拓や海外進出を図られる際には、お客様やパートナーとwin-winの関係を構築することが、長い目で見れば成功への近道です。そうしたwin-winの関係構築に、私の学んだことが少しでもお役に立てば、と考えています。