特定非営利活動法人 日本交渉協会
鈴木雄太
特定非営利活動法人 日本交渉協会
交渉アナリスト1級会員
鈴木 雄太
現在のお仕事についてお聞かせください
システムインテグレーターに所属し、コンサルタントとして、お客様の業務改革・システム導入の支援に携わっています。人事部門に所属していたキャリアもあることから、得意領域は経営・人事分野です。お客様の課題や期待を引き出し、当社の価値を届ける上で、日々の業務で交渉が生じていると感じています。
交渉学を学ばれたきっかけ(交渉学を学ばれる前に苦労された経験など)
日本企業の多くは、自社の業務内容に合わせた独自の業務システムを求める傾向が強
いため、システムインテグレーターが一種の「下請け企業」のような位置づけで、お客
様の個別システムを開発します。このため、お客様からの主張は譲歩余地のない絶対的
なものとして提示されることも多く、常に不利な関係性から始まる交渉に悩まされて
いました。
お客様と対等な関係を作り、双方の価値を最大化する対話方法はないか模索した結果、
交渉学にたどり着きました。
交渉学を学んでどう実践していますか?
統合型交渉の考え方は、顧客交渉以外の様々なコミュニケーションにも応用していま
す。例えば、お客様からの提案依頼に対して、社内で早急に開発体制を整える必要があ
る場合、営業担当から、私が所属するコンサル部門や設計・開発を担当するSE部門に
相談が入ります。この段階で、お客様の要求(品質、費用、納期)が厳しい条件だと、
営業部門に対してSE部門から難色を示されことも少なくありません。
営業担当はお客様との折衝だけではなく、社内部門との調整にも苦労します。こうした
状況で、私は両者の間に立って、建設的な進め方を模索する場を設けます。営業、SE
両者の条件を聞き出して整理し、お客様に最大の価値を提供する「共通目的」に目線を
上げてもらうように働きかけています。
これは、まさに統合型交渉における「協創関係」を確立し、限られた資源を活用して創
造的な問題解決を目指すことに繋がっていると考えます。
交渉学を学び今後どのように活かしていきますか(統合型交渉の実践の例、交渉に対する姿勢、モットーなど)
交渉学を学んだことによって、自身の交渉姿勢が大きく変化したように感じます。
自身を客観的に振り返ると、交渉は「争いごとの一部だ」ととらえることが多く、交渉
場面を回避する傾向が強かったように思います。少し自分が我慢や無理をすれば、その
場は収まるという思考パターンは、結論の先送りや本質的な問題から目を反らすこと
に繋がっていて、逆に双方の利益を限定的なものにしていたことに気づきました。
今後は、どれほど困難な状況であっても「双方の価値探索と創造」を念頭に、交渉相手
との対話を続けていきたいと考えています。